大相撲本場所は、NHKがテレビとラジオで生中継で放送をしています。
また、今年からインターネットテレビのAbema TV(アベマTV)が午前8時から無料放送を開始しました。
今回は、NHKの相撲中継の解説者、実況アナウンサーを中心に解説したいと思います。
このページに書かれていることは…
相撲NHK専属解説者について
出典:http://www.m-biotics.com/
相撲中継は、NHKの実況アナウンサーと解説者が担当しますが、主に解説を担当するのがNHK専属解説者です。
ここでは、中継の概要と専属解説者について説明します。
NHK相撲中継
NHKの大相撲中継は昭和3年(1928年)の1月場所からラジオ放送が始まり、昭和28年(1953年)の5月場所からテレビ放送が始まっています。
●テレビ中継
BS1では全曜日、幕下、十両の取り組みを13:00から総合テレビ放送開始まで放送しています。
総合テレビは15時台から(平日15:08~、土・日・祝15:05~)18:00までとなっています。
ほかのスポーツ中継や単発の特別番組により、放送開始時間は前後することがありますが、幕内の取り組みはすべて放送するようになっています。
中継を担当する実況アナウンサー、解説者は、幕下、十両、幕内で交代します。
それぞれ、正面には解説者と実況アナウンサー、向正面に解説者、東西にレポーター(アナウンサー)が配置されます。
●ラジオ中継
ラジオ放送はNHKラジオ第1放送とラジオ日本(NHKの短波放送)が幕内のみ放送しています。
放送時間は、ラジオ第1放送が千秋楽以外が16:05から18:00まで、千秋楽は15:30から18:00までになっています。
ラジオ日本は平日が16:05から、土曜、祝日が16:11から、日曜が16:15から開始されます。
ラジオは幕内のみの中継のため、実況アナウンサーと解説者の交代はありません。
NHK専属解説者
現在、専属解説者はお二人です。
●北の富士勝昭さん
北の富士さんは第52代横綱として土俵を務め、引退後は九重親方として、昭和の大横綱・千代の富士を輩出しています。
現在は年寄を退職、現役時代の四股名・北の富士勝昭として、本場所の解説を担当しています。
北の富士さんは、横綱、親方、協会理事、そして相撲ファンと、様々な立場から物事を言える唯一の解説者です。
ファンからは歯に衣着せぬ解説で人気があり、時には厳しく、時には優しく、褒める時は褒め、悪いところは悪いと言い切ります。
その言葉には力士に対する愛やリスペクトがあるからこそ、ファンを魅了するのかもしれません。
毒舌過ぎるなどと言われることもありますが、独特のユーモアもあり、それが北の富士流と好評なのです。
また、北の富士さんはファッションでも注目されており、解説席で着物姿、洋服といろいろなお姿を披露してくれます。
● 舞の海秀平さん
舞の海さんは現役時代、小兵ながら多彩な技を駆使し、東小結まで上り詰めました。
「技のデパート」「平成の牛若丸」という愛称で呼ばれた人気力士でした。
現役引退時に年寄名跡に空きがなく、タレントに転身し、NHKの専属解説のほか、スポーツコメンテーター、旅番組のレポーターなど様々な活動をされています。
舞の海さんの解説は、素人にも分かりやすく、丁寧だと好評です。
しかし、不用意な発言をすることもあり、以前、横綱白鵬に対して「力が落ちている」と発言し、その言葉を耳にした白鵬が奮起、その場所を優勝したということがありました。
白鵬からは優勝インタビューで「力が落ちたと言っている人がいるが」と皮肉られたこともありました。
コアな相撲ファンからは、どうでもいいことを力説したり、重箱の隅をつつくような解説をすると悪評されることもあります。
現役時代のパフォーマンスもあり、とても人気がありますので、個性として捉えてあげてほしいですね。
●過去の専属解説者
緒方昇(1988年-2000年)
神風正一(1953年-1986年)
若瀬川忠男(1985年-1991年)
玉の海梅吉(1957年-1982年)
出羽錦忠雄(1990年-1999年)
緒方昇さんは四股名の北の洋ではなく、本名で解説をされていました。
温かみのあって褒め上手な緒方さんの解説はファンにも人気でした。
中継を解説者する親方について
出典:https://ameblo.jp/
相撲中継の解説は、北の富士さんと舞の海さんだけではありません。
相撲協会に所属する親方たちが交代で解説を務めています。
年寄名跡取得の条件
・横綱・大関を務めた力士
・三役(関脇・小結)を1場所以上
・幕内を通算20場所以上
・幕内・十枚目以上(関取)を通算30場所以上
幕内正面解説の親方
審判部を除いた協会幹部や元人気力士、現役時代に横綱、大関を務めた親方が解説者として起用されることが多いです。
2018年初場所では、境川、鏡山、玉ノ井、春日野、陸奥、尾車親方が担当しています。
幕内向正面・十両正面
引退して数年の若手親方や長年解説を務め、その解説に定評がある親方が解説を務めています。
幕内向正面と十両正面の解説は兼任するようです。
2018年初場所の幕内向正面解説を務めた親方は雷、不知火、友綱、阿武松、錣山、立田山、宮城野、立浪、谷川親方です。
白鵬の師匠宮城野親方のように、弟子が出世すると解説の声がかかることが多くなるようです。
現役時代の人気や、協会理事というだけで解説を務める幕内正面の親方より、解説が上手い親方が多いと評判です。
幕下以下
借株など、一般的に知名度の低い親方や、幕下以下の力士に精通している親方が務めています。
幕下までの力士を指導、監督する「若者頭(わかいものかしら)」が向正面に入ることもあります。
若者頭は定員8名、相撲部屋に所属していますが、相撲協会から給料をもらっています。
現役引退時に年寄株を取得できなかった十両、幕下力士のような力士経験者が、親方から協会に申請され、理事会の決議によって任命されます。
若者頭は、人格者であり、若い人の稽古を指導する能力、親方を補助する事務能力に優れた人でなければ務まらない仕事です。
基本的に現役時の四股名のまま仕事に携わります。
幕内の正面解説者は、人気や評判を優先しますが、十両以下は協会の人事が優先されます。
十両以下の解説をすることが多いのが、相撲理論に明るい力士の教習所担当の親方です。
最近では、稲川、不知火親方が該当します。
NHK相撲中継を担当する実況アナ
出典:https://matome.naver.jp/
相撲中継の実況はNHKのアナウンサーが担当します。
それぞれ、所属する部署は東京アナウンス室とか、大阪放送局などと違うのですが、本場所の時は相撲実況を担当しています。
幕内の実況を務めるのは、ベテランの藤井康生アナをはじめ、三瓶宏志、大坂敏久、吉田 賢アナなど。
最近では若手の三輪洋雄、沢田石和樹、船岡久嗣、佐藤洋之アナなども幕内を担当しています。
十両、幕下はさらに若手の厚井大樹、戸部眞輔アナウンサーなど数名が担当しています。
スポーツ全般を担当しているため、オリンピックや競馬中継、野球中継、フィギュアスケート、テニスなど、様々なスポーツの知識を持ったエキスパートなのです。
特に、三瓶宏志アナは、2017年初場所の宇良・天風戦の決まり手をわずか1秒で「伝え反り!」(正式にはたすき反りでしたが)と予想して伝えました。
ネット上では知識豊富な三瓶アナに対する賞賛の声も多かったようです。
※解説員について
NHKの解説員は、NHK解説委員室に所属しています。
解説員は、長年の取材経験で培った知識を基に、NHKの報道番組でニュースに関する解説を行っています。
長く相撲の実況を担当していた刈屋富士雄さんは2011年から解説員とアナウンサーを兼務、現在は相撲実況は退いているようです。
刈屋さんといえば、オリンピックで数々の名実況を送り出してきた名アナウンサー。
個人的な思いや感情が先行してしまう面が多々あり、相撲ファンの好みははっきりと分かれる存在です。
現役時代は、理詰めの藤井に対して完成の刈屋と言われ、相撲中継においては双璧をなしていました。
元アナウンサー杉山さんとはどんな人?
出典:http://archives.bs-asahi.co.jp/
本名:杉山邦博
杉山邦博さんは元NHKのエグゼクティブアナウンサーで、現在東京相撲記者クラブ会友の立場で相撲に携わっています。
1987年10月に定年を迎え、その直前の1987年9月場所千秋楽が最後の実況となりました。
その後も1994年3月場所まで解説者として大相撲中継に出演することもありました。
本場所では、東側花道脇の席に座り、怖い顔で土俵を見つめる杉山さんの姿がテレビ画面に映し出されます。
また、相撲力士の結婚式や、断髪式の司会進行役を行うこともあるようです。
初代貴ノ花の大ファンで、現役時代は「泣きの杉山、泣かせの杉山」と呼ばれていました。
※東京相撲記者クラブ会友とは
サラリーマンでも会社を引退したOBらを社友と言ったりします。
、
杉山さんは現在、東京相撲記者クラブ会友という立場で活動していると書きましたが、いったいどういうものなんでしょうか。
同クラブは日本相撲協会から取材証を発行しいてもらって取材をする記者クラブです。
クラブの会員はテレビ、新聞などのマスコミですが、会友には資格が必要です。
「相撲記者クラブ在籍10年以上で、かつ55歳以上との条件があり、大相撲取材に長年貢献し、協会の発展に功労のあった人をクラブ幹事社が推薦、総会で承認を得て決められる」とのことです。
簡単に言うと、相撲担当記者OBということです。
元横綱日馬富士の暴力事件から続く相撲界の不祥事のため、報道特需でメディアに出ずっぱりの会友の方々。
巷では“会友五人衆”と呼んでいるようです。
杉山さんのほかには、元テレビ朝日の山崎正さん、銅谷志朗さん、元スポーツニッポンの大隅潔さん、元夕刊フジの大見信昭さんといったメンバー。
会友の方々は、記者クラブの会員よりは言いたいことが言える立場ではあります。
ただ、クラブ会員と同じように、相撲協会から「相撲取材証」を発給してもらっていますから、あからさまに協会批判はできないのではないでしょうか。
女性の相撲解説者
出典:http://www.hochi.co.jp/
相撲解説に女性がいない理由
現在、相撲中継においては、女性の解説者はいません。
それは、相撲界が女人禁制ということころもあるのではないでしょうか?
支度部屋へ女性が入ることは禁止されていますし、土俵上に上がることもできません。
NHKでは女性のタレントさんがゲストとして呼ばれることはありますが、本職の解説者や実況を務めることは難しいようです。
ただ、インターネットテレビのAbema TVでは、NHKとの差別化を図るため、若いタレントや女性を解説者に起用することも検討しているようです。
横野レイコさんとは
最近、フジテレビの専属相撲レポーターとして、情報番組に出まくっている横野レイコさん。
肩書きは「相撲コンシェルジュ」と「フリーアナウンサー」です。
元祖スー女として相撲追っかけ歴30年という実績を引っさげて活躍されています。
相撲に関する知識、人脈もあり、最初に女性の解説者を務めるのは横野さんなのかなと思っています。
ただ、日馬富士の暴行事件からの一連の報道で、横野さんの貴乃花親方批判と協会擁護が過ぎると感じる人も多いようです。
ネットでも悪評が先行しているようですが、会友の方々や横野さんのように相撲関係者との関わりあいが深い人は、自分の立場を考えて言葉を選ばなければいけません。
難しいお仕事だなと痛感させられます。
まとめ
相撲に限らず、解説という仕事は公平的な立場から意見を言わなければいけないと思っています。
ただ、人と人の付き合いや感情、心情などが出てしまうこともあるのではないでしょうか。
北の富士さんのように、それが個性として認識される人もいれば、叩かれてしまう人もいます。
人格と言ってしまえば簡単なのですが、報道するという立場から間違ったことを感情的に言うことだけはやめてほしいと思っています。
稀勢の里が横綱になり、今まで相撲を見なかった人も相撲を見るようになりました。
そんなにわかなファンは間違った報道を信じてしまいます。
相撲中継を担当している解説の方、元相撲界にいた方など、それぞれの立場があると思いますが、報道によって誘導するようなことはあってはいけないことだと思っています。
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