相撲の稽古の種類 見学は可能か?

相撲の力士は厳しい規則のなかで日々厳しい稽古をしているというイメージがありますよね。

今回は、力士がどんな生活をしているのか、どんな稽古をしているのか、また、稽古を見学することは可能なのかについて解説したいと思います。

 

力士の1日のスケジュール


出典:https://www.cnn.co.jp/

相撲の本場所は1年に6回開催され、その間に巡業があります。

本場所で好成績を残すために稽古をします。

稽古について解説する前に力士は1日、どのようなスケジュールで過ごしているかを調べてみました。

まず、力士は十両に昇進して初めて関取となり、給料がもらえるようになります。

幕下以下の力士は取的(とりてき)と呼ばれます。

基本的に力士は結婚するまでは関取であっても、相撲部屋に住むのがルールです。

関取になると個室が与えられます。それまでは、共同部屋で過ごすことになります。

 

●起床 

取的:5:00~ 5:30

関取:7:00~ 7:30

番付が下の力士は、朝の身支度を済ませ、稽古ができるよう土俵の準備をします。

これは新弟子の仕事という部屋が多いようです。

●稽古

取的:6:00~ 9:30

関取:8:00~ 10:30

先に取的が稽古をして、その後、関取衆が行います。

基本的には、同じ番付の力士同士が稽古を行います。

また、取的は関取の汗を拭いたり、背中の砂を払い落としたりとお世話をしなければいけません。

さらに、関取の稽古を観察して相撲を勉強していくのです。

●お風呂、食事

取的:11:30~ 13:30

関取:11:30~ 13:00

お風呂や食事は、番付が上の力士から入ります。

取的は関取の体を流したり、食事のお給仕も担当します。

親方や関取の食事が終わったら取的が食事をします。

●昼寝

力士達は、食後から、15:00~15:30くらいまで昼寝をします。

昼寝も力士の大事な仕事、体を大きくするには食事と十分な睡眠が必要なのです。

また、稽古の疲れを十分に取り、けがを防止することも大事です。

●自由時間

力士によって過ごし方はいろいろです。トレーニングをする力士や洗濯や掃除をする力士など様々。

付け人としての仕事や掃除番、ちゃんこ番などの当番がなければ、外出も自由にすることができます。

●夕食

17:30~18:00から

相撲部屋の食事は基本的に昼と夜の二食制です。

ちゃん番は当番制になっている部屋が多ようです。

もちろん、番付上位から食事を取ります。

食後の片付けも分担して行います。

●自由時間

就寝までは自由時間です。外出する力士もいますが、部屋によって門限があり、それまでは帰らなくてはいけません。

部屋で本を読んだり、テレビを見たりとみんなでのんびり過ごしているようです。

●消灯

部屋によって時間が違いますが、22:30~23:00くらいが多いようです。

早く感じますが、翌日の朝稽古に備えて早めに就寝します。

 

基本の稽古


出典:https://www.daily.co.jp/

最近の力士にけがが多いのは、相撲の基本の稽古が足りないと言われています。

では、基本の稽古とはどのようなものでしょうか。

四股

両足を左右交互に高く持ち上げます。手を膝に当て、力を入れて地を踏む運動です。

相撲にとって重要な、足腰を鍛えるための大事な稽古と言われています。

ただ四股は単純に足腰を鍛えるだけではありません。

「中臀筋」と「小臀筋」を強化し、それによって股関節の柔軟性と安定を獲得するバランストレーニングだと言われています。

鉄砲

鉄砲柱に向かい、両手と両足を交互に動かす運動です。

手だけでなく、体全体でリズムカルに叩くのが正しいやり方、簡単そうに見えてかなり難しいのだそうです。

腕力を強化するための稽古と言われていますが、それ以上に突きと運び足(上肢と下肢)のバランスがとれたトレーニングなのです。

それを何100回と繰り返すことにより、上半身と下半身の連動性を習得することができます。

股割り

両足を左右いっぱいに開き、上半身を地面につける運動です。

下半身の柔軟性を高めることができ、ケガを予防してくれます。

実は、股関節の柔軟性と、力士が痛めやすい膝関節はとても密接な関係があります。

股関節の柔軟性が不足すると、膝関節に負担が掛かってしまうのです。

体重の重い力士にとって、膝への負担は避けたいところ、そのため、股割りはかかせないトレーニングです。

すり足

足の裏を土俵から離さないようにする運動です。

すり足は中腰の体勢を維持したまま行います。

そのため、膝や足関節を使わず股関節周囲筋を使って動く事を筋肉に習得させることができるのです。

不恰好なフォームで土俵上を這いずり回っているように見えますが、力強く、また、素早い動きを獲得するバランストレーニングなのです。

 

基本の稽古は地味で辛いため、以前と比べると四股や鉄砲をする量は減る傾向にあります。

ベンチプレスなどの器具を使ったウエイトトレーニングを積極的に取り入れる力士も多くなっているようです。

古いトレーニングと思われがちですが、基本の稽古はケガをしたい体作りには欠かせない稽古であり、体のバランスをよくする優れたトレーニングと言えるでしょう。

 

稽古の種類


出典:https://www.scoopnest.com/

申し合い

申し合いは最も一般的に行われる稽古でいわば実践的な稽古、総当りではなく勝ち抜き方式になっています。

勝った力士が次の相手を指名することができます。

土俵の外で稽古を見守る力士は勝負がつくと一斉に手を上げてアピールします。

また、親方が対戦相手を指名することもあるようです。

三番稽古

申し合いは相手を変えながら稽古をするのに対し、三番稽古は勝敗に関わらず同じ相手と稽古をします。

互角の実力を持つ力士2人が、何番も稽古をするのですが、これは、特定の相手への対策のために行われるほか、特に親交の深い力士同士でも行われます。

苦手力士の克服のために、その本人にお願いすることもあるようです。

三番という名前がついていますが、回数は特に決まっていません。

当人同士の同意と稽古場があれば何十回と繰り返して行うこともあるため、自然に稽古量は多くなります。

三番稽古は地力をつけるためにはよい稽古法とされています。

ぶつかり稽古

受け手と攻め手に分かれて行います。

攻め手の力士が受け手の胸に全力でぶつかっていきます。

受け手は番付の上位力士が行うことが多いです。

受け手は守りを、攻め手は当たりの押しの力をつけること、そして投げられたときの受け身の稽古をします。

双方ともに体力を消耗するハードな稽古で、見ている方が辛くなります。

俗に言う「可愛がり」もこのぶつかり稽古のときに行われ、これぞ、「相撲の稽古」と言えるでしょう。

出稽古

自分の部屋ではなく、他の部屋に出向いて行う稽古のことを出稽古と言います。

本来、出世を見込まれている力士が一門の大部屋などに出向くことを意味しますが、最近はそうともいえないようです。

所属している部屋に力士が少ない場合や、苦手とする力士を研究する場合に出稽古の出向くことが多くなっています。

白鵬は気になる力士のいる部屋へ出稽古をしてぶつかり稽古の受け手を務めているのをよく見ます。

相手を怪我させるような「可愛がり」はいただけないと思いますが、勝負への執念を感じます。

過去には横綱千代の富士は苦手だった琴風(現尾車親方)のところへ毎日出稽古に通ったそうです。

故本的に一門内での稽古となりますが、地方場所などでは宿舎が近いとか、親方同士の仲がいいので合同稽古をするということもあるようです。

連合稽古

一門の部屋の力士が集まって行う稽古です。タイプの違う力士と稽古することができます。

以前は本場所前に行っていたようですが、最近では一門の結束力が弱まり、年に一度程度のところが多いようです。

二所ノ関一門の連合稽古は稀勢の里の動向に注目が集まるため、ニュースになることが多いです。

また、相撲界最大派閥・出羽海一門は毎年1月場所の前の新年早々に連合稽古を行っています。

毎年3月場所前に行われていた貴乃花一門の連合稽古は中止されたとの報道がありました。

 

稽古の見学について


出典:https://asajikan.jp/

各相撲部屋での朝稽古は一般のファンも見学することができます。

現在相撲部屋は46部屋ありますが、すべての相撲部屋が見学できるわけではありません。

見学時間は部屋によって多少の違いがありますが、だいたい午前6時から9時、10時くらいのところが多いようです。

朝稽古は幕下以下の力士たちから始まり、8時頃から十両以上の力士が姿を見せます。

四股、すり足、鉄砲などの基本運動から始め、申し合いや三番稽古を行います。

稽古見学のルール

稽古見学は各部屋によって多少違いがありますが、以下については最低限守って見学をしましょう。

・写真撮影は控える

・携帯電話、スマホの使用禁止

・喫煙禁止

・飲食の禁止

・私語を慎む

・帽子やサングラスを外す、また、露出度の高い派手な服装は慎む

・風邪を引いている時は見学を控える

また、小学生以下のお子様で稽古の妨げになるような場合は、見学をお断りする場合もあるようです。

東京の相撲部屋見学

相撲部屋は東京と、神奈川、千葉、埼玉などの近郊に点在しています。

◆見学可能な相撲部屋

・出羽海部屋(事前連絡要)・春日野部屋 ・玉ノ井部屋 ・入間川部屋 ・式秀部屋 ・木瀬部屋 ・尾上部屋(条件付きで見学可能)

・武蔵川部屋 ・境川部屋 ・二所ノ関部屋 ・佐渡ケ嶽部屋 ・尾車部屋(入門見学は可能) ・朝日山部屋(後援会とファンクラブ会員のみ見学可能)

・片男波部屋 ・田子ノ浦部屋(後援会会員のみ見学可能) ・高田川部屋(後援会会員のみ見学可能) ・峰崎部屋

・芝田山部屋(芝田山会会員を優先) ・時津風部屋 ・湊部屋 ・荒汐部屋 ・伊勢ノ海部屋 ・鏡山部屋 ・井筒部屋 ・陸奥部屋 ・錣山部屋

・追手風部屋 ・高砂部屋 ・東関部屋 ・錦戸部屋 ・九重部屋 ・八角部屋 ・立浪部屋 ・伊勢ケ濱部屋 ・友綱部屋 ・宮城野部屋

・浅香山部屋 ・貴乃花部屋 ・大嶽部屋 ・阿武松部屋 ・千賀ノ浦部屋 ・鳴戸部屋 ・西岩部屋

 

場所前や場所中は調整程度の稽古となり、見学できないこともあります。

出稽古などで部屋での稽古がないこともあるので、見学の際には事前に確認が必要です。

地方場所の宿舎見学(大阪、名古屋、福岡)

地方場所の場合は、その地方に稽古場兼宿舎を設けます。

力士たちは、番付発表の1週間前くらいから移動することが多いようです。

地方場所は年に一度の開催のため地元のファンは開催を楽しみにしており、毎年稽古見学に訪れる熱心なファンも多いとのこと。

また、新弟子の発掘の役割も担っており、見学した子供達が興味持ってくれたり、見学者が新弟子を紹介してくれる可能性もあるそうです。

本場所のチケットは高額で入手困難ですが、稽古は無料で見学できます。

多くの人に見学してもらいたいというのが部屋の関係者の気持ちのようです。

朝稽古の見学ツアー

近年、相撲部屋は旅行会社とタイアップして稽古見学ツアーを販売することもあるようです。

稽古見学後は、部屋自慢のちゃんこをご馳走してくれます。それがお目当てのファンも多いのではないでしょうか。

また、外国人観光客のツアーとしても人気が高まっています。

 

稽古総見とは?


出典:https://4travel.jp/

稽古総見とは、両国国技館で行われる東京場所(1月、5月、9月)の直前に、横綱審議委員会(横審)が主催する稽古です。

同会のメンバーが、関取衆を集めて、稽古の様子を見守る恒例行事となっています。

横綱審議委員会とは?

稽古総見を主催する横綱審議委員会とはどんな機関なのでしょうか。

横綱審議委員会、略して横審は、昭和25年に設立された日本相撲協会理事長の諮問機関です。

主に、横綱昇進に際し、理事長からの諮問を受けて、横綱としてふさわしい品格、力量があるかを審議、推薦するかどうかを決める役割を果たしています。

横審は、相撲に理解のある角界の有識者(15人以内)で構成され、任期は5期10年です。

稽古総見の主催のほか、本場所の観戦と毎場所後の千秋楽翌日に定例会を開催しています。

また、横綱の休場が多い場合や、成績不振の場合などは、委員の発議で激励、注意、引退勧告をすることもできます。

横審はあくまでも理事長の諮問機関で、横綱の昇進を決めるのは相撲協会の番付編成会議と理事会です。

一般公開される稽古総見

稽古総見はすべて非公開で、理事長の部屋や相撲教習所の稽古用土俵で行われていましたが、2000年からは5月場所前の稽古総見を一般公開しています。

5月場所前はゴールデンウィークということもあり、ファンも参加しやすいのでは?と見込んで一般公開するようになったそうです。

料金は無料、どこの席でも、もちろんマス席でも無料で見ることができるのです。

ファンにとっては普段は見られない関取衆の稽古風景を見ることができるとあって朝早くから国技館前に並びます。

開場は7:00ですが、満員になった時点で入場が締め切られるため、朝4時くらいから並ぶようです。

稽古の時間は幕下が7:30~9:30、十両が8:30~9:30、幕内が9:30~11:00まです。

稽古は番付ごとに「申し合い稽古」で行われます。

土俵の周りには親方衆や横審のメンバーが座って見学しています。

稽古が終了すると、人気力士たちによる握手会もあり、普段の場所では見ることのできない力士たちの姿を見ることができます。

 

平成29年の稽古総見の一般公開は、5月3日、両国国技館で行われました。

新横綱・稀勢の里を一目見ようと、徹夜組も出るほどだったのですが、稀勢の里は無断欠席、集まったファンをがっかりさせました。

田子ノ浦親方が欠席の連絡を協会へ失念していたしていたようですが、ファンのお目当てだっただけに残念な結果となりました。

ただ、力士は稀勢の里だけではありません、白鵬をはじめ、他の力士たちが白熱した稽古を披露してくれました。

 

まとめ

相撲の稽古は昔ながら稽古に加え、ウエイトトレーニングなどを行う力士が増えています。

部屋にもトレーニングルームを備えているところが多いようです。

しかし、相撲の稽古と言ったらやっぱり四股を踏むとか、ぶつかり稽古や申し合いというイメージがあります。

バランスよく新旧のトレーニングを取り混ぜて、ケガの少ない体作りをしてほしいと思います。

また、本場所を観戦するとは違う相撲の厳しい世界を見学できるのも魅力的です。

相撲に興味を持ったら一度は稽古見学に足を運んでみてほしいですね。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

eight + 16 =