相撲中継を見ていると「三役」という言葉をよく聞きます。
番付社会の相撲において「三役」はとても重要な地位です、
今回は、その意味など「三役」にまつわることをいろいろと調べてみました。
このページに書かれていることは…
三役の意味
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三役とは
三役とは、大関・関脇・小結のことを言います。
これは、明治時代に横綱の地位が明文化されるまでの名残です。
江戸時代までは、番付の最高位は大関でした。
横綱は綱を締めることが許された大関のことで名誉称号だったのです。
また、政治の世界では党三役という言葉があり、組織の重要なポストの意味でも使われます。
現在、相撲の三役は大関を除く関脇と小結の2つの地位を総称する意味で使われているようです。
これは、大関が昇進するときに条件が厳しいため、横綱と同じように特別な存在として三役に含めない考え方が一般的です。
関脇・小結の由来
関脇は大関の脇をつとめていたことが由来とされています。
また、小結の由来については諸説あり、ほかの地位ほど明確にされていません。
もっとも一般的に広まった説は「小口の結び」の意味と言うものです。
小口は、物事の始まり、結びは終わりを表します。
小結、関脇、大関の取り組みを称して「結びの三番」と言いますが、最初に行う地位を小結と呼ぶようになったということです。
三役の人数と条件
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三役になるには?
三役になるには、まず幕内に昇進しなければいけません。
前頭という地位(平幕力士)で勝ち越しをし、番付を上げていくことにより、三役に昇進することができます。
大関を三役と別にするのは、昇進の条件が厳しいためと書きましたが、実際はどのような条件なのでしょうか?
大関になるには、関脇の地位で直近3場所で33勝というのが目安になっています。
1場所11勝4敗の成績を残せばいいのですが、それはかなり厳しい条件です。
三役の維持は難しい
三役というのは出入りの激しい番付です。
前頭の上位で勝ち越しをすると上位の力士の成績にもよりますが、小結、関脇に昇進することができます。
しかし、この地位は場所前半から、横綱、大関の上位陣との対戦、また、実力者が揃う前頭上位の力士たちとの対戦が組まれます。
横綱が4人もいたら三役は大変!毎日が横綱・大関戦になり、序盤で負け越し決定なんてことになりかねないのです。
そのため、三役を維持することはとても難しく、ましてや3場所続けて10勝以上するなんて至難の技、だからこそ大関に昇進する実力があるとされるのです。
三役の人数
では、三役には人数制限はあるのでしょうか?
幕内力士は合計42人と決まっていますが、三役の人数制限はありません。
ありませんが、東西に1名ずついる必要があります。
基本的には東西に小結、関脇が1名ずつ、合計4名で番付を編成しています。
三役へ昇進するには、前頭の上位で勝ち越しすることが条件ですが、三役に空きがなければ昇進することができません。
上位陣が総崩れした時に上位で勝ち越せば、三役に昇進できますが、逆もあるのです。
その力士がもつ運も左右してくるのが番付の昇進なのです。
また、カド番の大関が負け越すと関脇に降格し、関脇が3人になります。
三役の待遇
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力士の給料
力士は関取と呼ばれる十両以上の番付に昇進して初めて給料をもらうことができます。
番付別の月給は以下の通りです。
・横綱:282万円
・大関:234.7万円
・三役(関脇・小結);169.3万円
・平幕(前頭):130.9万円
・十両;103.6万円
平幕から三役に昇進すると約40万円、年間480万円アップとなります。
三役から大関に昇進した時の給料は約65万円、年間780万アップです。
力士の給料にはそのほかに力士報奨金というものがあります。
三役は幕内力士として平幕力士と同等の最低支給基準額となります。
※横綱:150円 大関:100円 幕内:60円 十両:40円
三役を経験すると?
三役を一度でも経験すると、引退した時に元小結や元関脇と呼ばれます。
土俵を降りても、「三役経験者」という言葉が、肩書きや役職のように付いてきます。
また、細かい規約は他にもありますが、三役になれば年寄株取得の権利を得ることができます。
三役揃い踏み
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これより三役
千秋楽の取り組みの中で、最後の三番と取り組みのことを「これより三役」と言います。
呼び出しさんの「これより三役~」という声が場内に響き渡ると、拍子木の美しい音に合わせて、東方からこれから三番を取る力士が土俵上に上がります。
前に2人、後ろに1人の扇方で四股を踏みます。
次に西方の力士が3人土俵に上がり、東方とは逆に前に1人、後ろの2人の扇形で四股を踏みます。
この儀式を「三役揃い踏み」と言います。
これは、千秋楽の最後の三番を取る力士たちが土俵に上がり、揃って四股を踏むという単純な儀式ですが、それには古来からの深い意味があるのです。
矢・弦・弓
これより三役の取り組みの勝者には懸賞金に合わせて「弓矢」に関するものが与えられます。
確かに、千秋楽のこれより三役の取り組みで勝った力士が受け取る懸賞金に矢が括られているのを見たことがあります。
あれにはどんな意味があるのでしょうか?
以前は、三役とは、大関、関脇、小結を指していました。
「三役揃い踏み」の後の取り組みの中で最初に勝った力士には「小結にかなう」として「矢」が与えられます。
次に2番目に勝った力士には「関脇にかなう」として「弦」が与えられます。
そして、結びの一番に勝った力士には「大関にかなう」として「弓」が与えられます。
勝ち名乗りも「小結(関脇、大関)にかなう○○(四股名)」でしたが、現在は結びの三番すべての勝った力士に、「役相撲(結びの三番の事)にかなう○○」と勝ち名乗りを上げています。
また、「弓」については、現在、結びの一番を勝った力士ではなく、弓取り式を行う力士が代わりに弓を受け取る形になっています。
勝った力士に「弓」に関係するものが与えられるようになった事の起こりは諸説あり、戦国時代から勝者に褒美として弓や扇を授けていたことが起源ではないかと言われています。
協会ご挨拶
本場所の初日・千秋楽には、理事長からお客様に対し、協会ご挨拶が行われます。
十両の取り組みの結び3番の前に理事長と三役以上の力士が土俵に上がります。
この時、三役として土俵に上がることは力士とって名誉なことなのです。
現在の三役力士
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直近3場所の三役
2017年11月場所・・・小結:琴奨菊、阿武咲 関脇:御嶽海、嘉風、照ノ富士
2018年1月場所・・・小結:貴景勝、阿武咲 関脇:御嶽海、玉鷲
2018年3月場所・・・小結:逸ノ城、千代大龍 関脇:御嶽海、栃ノ心
大関候補は?
●御嶽海
直近3場所で関脇だった御嶽海に注目してみました。
御嶽海は2016年の11月場所で初三役(東小結)に昇進しました。
6勝9敗で負け越し、翌2017年1月場所は西前頭筆頭に陥落してしまいます。
しかし、ここは11勝4敗で勝ち越しして、3月場所では三役に返り咲きました。
小結で2場所勝ち越し、7月場所で初の関脇となり、4場所連続で勝ち越します。
ずいぶん長く関脇を務めているんだな、そろそろ大関では?なんて思う人も多いでしょう。
実は関脇の在位の最高は琴光喜の22場所です。ちなみに琴光喜は大関に昇進を果たしています。
残念ながら、3月場所は負け越してしまい、5月場所は小結への陥落が濃厚です。
まだまだ、在位4場所くらいだと、大関への道は厳しいようです。
●栃ノ心
1月場所で平幕優勝を果たした栃ノ心、3月場所は左足付け根外側の怪我がありながら関脇の地位で10勝を挙げました。
5月場所も関脇の番付で相撲を取る予定、優勝に絡むような成績を挙げれば、大関昇進があるのではないかと言われています。
まずは怪我を治し、大関取りを目指して欲しいと思っています。
遠藤が悲願の初三役
3月場所を前頭筆頭の番付で土俵に上がった人気力士、遠藤は9勝6敗で勝ち越し、5月場所は三役に昇進が濃厚です。
遠藤は、平成25年(2013年)3月場所で幕下付出しで初土俵を踏み、史上最速となる所要3場所で新入幕を果たしました。
当時、幕内4場所で東前頭筆頭まで番付を上げ、このまま大関まで昇進するような勢い、遠藤フィーバーが巻き起こりました。
今の相撲人気の立役者と言っても過言ではないくらいです。
しかし、度重なるけがの影響もあり、思うような成績を残せなくなりました。
過去三度も筆頭を経験しながら、その都度「三役の壁」に跳ね返されていた遠藤、今回入幕から5年で初三役となりました。
初土俵から本名を四股名に相撲を取っている遠藤、噂では三役昇進のタイミングで改名するのではないかと言われていました。
四股名の候補としては、追手風部屋の伝統の四股名「清水川」や同部屋に多い「大翔」の入った四股名が有力です。
ただ、追手風親方は四股名の改姓はないと話しており、初三役も遠藤で土俵に上がるようです。
遠藤のままでいてほしいような、改姓してほしいような、複雑な思いですが、どちらにせよ、三役に定着できるよう応援したいですね。
まとめ
三役は、ただ単に大関と前頭の間の番付というだけでなく、厳しい立場に置かれてる非常に名誉ある番付だと言えます。
ただ、長く三役に在位すればいいというものではなく、ファンからはさらに優秀な成績を残して、大関、さらに横綱への昇進が期待されるのです。
その足がかりとなるのが三役という地位なのです。
遠藤の例をとっても分かるように「三役の壁」は険しく、そして狭き門です。
昇進すればするで、上位陣との厳しい戦いが待っています。
今後、上位を目指す力士が現れるのか?三役力士の動向から目が離せません。
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