相撲の摺り足とは?そのトレーニングのやり方は?

相撲中継を見ていると、最近の力士は昔と比べてけがが多いなと感じます。

危なっかしい相撲も良く見かけます。

昔と今では力士のトレーニング方法も変わっています。

今回は、伝統的な稽古のひとつ、摺り足のトレーニングについて解説したいと思います。

 

相撲の摺り足とは


出典:http://www.sanspo.com/

最近の力士にけがが多いのは、相撲の伝統的な基本稽古が足りないと言われています。

では、基本の稽古とはどのようなものでしょうか。

稽古の基本運動

1.四股・・・両足を左右交互に高く持ち上げます。手を膝に当て、力を入れて地を踏む運動です。

2.鉄砲・・・鉄砲柱に向かい、両手と両足を交互に動かす運動です。

3.股割り・・・両足を左右いっぱいに開き、上半身を地面につける運動です。

4.摺り足・・・中腰の体勢を維持したまま足の裏を土俵から離さないようにする運動です。

 

最近の若い力士は、基本の稽古が地味で辛いため、ベンチプレスなどの器具を使ったウエイトトレーニングは積極的に行うも、四股や摺り足などは準備運動程度しか行わないようです。

摺り足とそのやり方

摺り足は前出の相撲の基本運動のひとつで、足の裏を土俵から離さないようにする運動です。

やり方は、まず、肩幅より少し広めに足を広げ、中腰になります。

このとき背中は丸めず背筋を伸ばすようにします。

そして、両腕を手のひらを上にして膝の前に伸ばし、右足と右腕を前進、次に左足と左腕を前進させます。

これを交互に行うのですが、ずっと中腰のため、足にはかなり負担がかかります。

これが、股関節の周囲を鍛える運動になるのです。

摺り足は和の動き

摺り足は伝統的な和の動きで、相撲のほか、能や日本舞踊などでも取り入れられています。

また、剣道や空手など、日本の武道では摺り足を基本動作として習得します。

昔の人は、履物は下駄や草履で、武士は腰に刀を差しています。

和服で着崩れないように歩こうとすると摺り足になり、自然に股関節の周囲が鍛えられていたのです。

 

摺り足の効果


出典:https://deepmuscle.info/

摺り足は4つの動作からなっています。

①股関節から足を出す。②つま先を上げる。③つま先を下げる。④床をつかむ。

摺り足をする時、足の裏や指に意識が行きがちですが、大切なのは股関節の動きです。

実は、股関節の柔軟性と、力士が痛めやすい膝関節はとても密接な関係があります。

股関節の柔軟性が不足すると、膝関節に負担が掛かってしまうのです。

大腰筋という股関節まわりのインナーマッスルは、股関節を屈曲させる最も重要な筋肉です。

摺り足をすることにより、股関節周りの大腰筋が柔軟になり、立体的な動きができるようになるのです。

けがの予防

摺り足によって股関節が柔軟になると、けがを防止することができます。

股関節と膝関節は密接な関係があると書きましたが、相撲を見ていて感じるのは膝にサポーターかテーピングをしている力士が多い事です。

最近の力士は体重も重く、膝に負担がかかっています。

その負担を軽減するためにも、基本的な運動である摺り足を毎日じっくり時間をかけて行うことが大事だと言われています。

 

そのほかの基本の稽古


出典:http://aganism.com/

摺り足と組み合わせて行う四股、鉄砲、股割りについても詳しく解説します。

四股

四股踏みは立ち合いの前のただの儀礼ではありません。

大腰筋や足腰を鍛える相撲の大事な稽古のうちのひとつです。

四股は両足を左右交互に高く持ち上げます。手を膝に当て、力を入れて地を踏む運動です。

相撲にとって重要な、足腰を鍛えるための大事な稽古と言われています。

鉄砲

鉄砲柱に向かい、両手と両足を交互に動かす運動です。

腕力を強化するための稽古と言われていますが、それ以上に突きと運び足(上肢と下肢)のバランスがとれたトレーニングなのです。

それを何100回と繰り返すことにより、上半身と下半身の連動性を習得することができます。

摺り足と組み合わせて行う稽古、摺り足のトレーニングにもなります。

股割り

股割りも、摺り足と同じく股関節の柔軟性を高めるトレーニングのひとつです。

両足を左右いっぱいに開き、上半身を地面につける運動です。

下半身の柔軟性を高めることができ、ケガを予防してくれます。

摺り足や四股、鉄砲、股割りの基本稽古は、古いトレーニングと思われがちです。

しかし、基本の稽古はケガをしない身体作りには欠かせない稽古であり、股関節の柔軟性と安定を獲得するバランストレーニングと言えるでしょう。

 

横綱・白鵬のトレーニング方法


出典:https://www.nikkei.com/

NHKの相撲解説者・北の富士さんが白鵬のウォーミングアップについて「じっくり時間をかけ、四股や摺り足を行い、しっかりと汗を流している。最近の若い力士も見習ってほしい」とよく話をしています。

白鵬の稽古とはどんなトレーニングなのでしょうか?

2015年に横綱・白鵬が出版した「相撲よ!」という著書に、自身のトレーニング方法について語っています。

白鵬が入門した当時、上位力士たちが行っていたのは、欧米式のウエイトトレーニングだったそうです。

しかし、周りの親方たちは、若い力士がウエイトトレーニングをすることに反対、四股や摺り足などの相撲の伝統的な稽古方法をするように指示したのです。

その重要性がわからないまま、白鵬は四股や摺り足、鉄砲で身体を鍛えたのです。

白鵬は自分が横綱になれた理由を「教えられた稽古が正しいものであったこと、そして人より少しだけまじめにやったこと」と答えています。

欧米式のウエイトトレーニングをやり過ぎて、身体が硬くなってしまい、けがをしやすくなる力士も増えているそうです。

白鵬は、そんな力士と組んでみると上半身の力が強く、上半身に任せた相撲を取ることを感じるとのこと。

そのため、身体の他の部分に無理な力がかかってしまい、けがをしやすい相撲を取ってしまうのです。

つまり、伝統的な稽古でこそ、相撲を取るのに適した筋肉がつくということを言いたかったのではないでしょうか。

名力士の共通点

白鵬は著書で、相撲に強くなった力士は伝統的稽古を繰り返し、繰り返し、一生懸命にやり続けたからだと書いています。

双葉山や千代の富士の柔らかさのある筋肉は、筋トレではできないものであり、稽古場で四股や鉄砲、摺り足を繰り返した結果ついた筋肉と考えているようです。

相撲で強くなるには特定の筋肉を鍛えず全体をみながら身体を包み込むように鍛える必要がある、そのためには伝統的稽古が有効だと書いています。

 

相撲健康体操とは


出典:https://rocketnews24.com/

相撲健康体操とは、相撲協会公認のエクササイズです。

相撲の動きをベースとした体操は、老若男女に出来て、効果も抜群だというから見逃せません。

もちろん、相撲健康体操の基本となっているのは、伝統的稽古の四股、鉄砲、摺り足などの動作です

その相撲の基本動作の型を手本にして、身近で親しみやすく、子どもからお年寄りまで、女性、男性、どなたでも楽しく行う事ができる健康体操を考案したのです。

その背景には、近年生活様式が変化きたことにより、歩く機会が少なくなっていることのあります。

それが足腰の弱化を招き、現代人の健康に様々な影響を及ぼしているのです。

相撲健康体操の効果

この体操の効果は足腰を鍛えることだけではありません。

筋肉の緊張がほぐれて血流をよくしてくれます。

また、神経系を刺激することにより、消化吸収や新陳代謝を促し、脳の活性化、疲労回復の効果があります。

ストレスを解消してくれて、足腰を鍛えることで老化防止にもなるのです。

 

まとめ

摺り足は、ほかの伝統的稽古と同じく、相撲にはかかせないものです。

大きなけがをして相撲を取ることができない力士を見ると心が痛みます。

大きなけがなく、大記録を達成した白鵬も近年ではけがに悩まされ、休場が多くなっています。

力士にとって、競技人生はけがとの闘いといってもいいでしょう。

フィギュアスケートの羽生結弦選手が「努力は嘘をつく」と言っています。

努力して一番練習している人が必ずしも優勝するわけでないという意味だそうです。

ただ彼の言葉は、「努力は無駄にならない、努力の正解を見つけることが大事」と続きます。

努力の正解とは、いろいろな解釈ができますが、相撲の稽古でいえば、伝統的な稽古を積み重ねることにより、けがをしにくい身体をつくることができるとも言えるのではないでしょうか?

また、相撲だけでなく私達も普段からエクササイズに取り入れることで、健康的に過ごすことができる可能性も!

腰が悪い、股関節が痛いなどという人は一度、摺り足を実践してみてはいかがでしょうか。

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