相撲の手刀の意味 手刀の切り方とは?

相撲の取り組みで懸賞金を受け取る力士が、行司の差し出す祝儀袋を受け取る作法を「手刀を切る」と言います。

今回は、手刀の意味や由来、切り方について調べてみました。

 



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手刀とは?


出典:https://ameblo.jp/

手刀とは日本の儀礼のひとつで、その名の通り手を刀に見立てたものです。

人の前を横切る時や、人ごみを通り抜ける時など、手をチョップのようにする動作をいい、日本人独自のものになります

海外では人前を通る時には微笑みながら通ったり、はっきりと「失礼」と言葉で伝えます。

日本は曖昧な態度が謙虚でよいとされているところもあるため、言葉にせず仕草で意思表示するのかもしれませんね。

手刀は、相手に手のひらを見せることで、武器を持ってないというアピールをするものです。

また、自分が通ろうとしている方向を示すという意味もあるようです。

 



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相撲の手刀とは?


出典:http://sumo-rikishi.com/

相撲では、幕内の取り組みで、勝った力士が懸賞金を受け取る時や、土俵下で審判の親方や行司の前を通る時に手刀を切ります。

手刀の意味

相撲は1500年以上の歴史を持ち、古来より五穀豊穣を祈り、その恵み感謝する神事です。

手刀を切るのは、懸賞金を受け取る前に、五穀豊穣の三神に感謝する礼儀としての意味をもつ動作なんです。

三神とは、

左・神産巣日神(かみむすびのかみ)

右・高御産巣日神(たかみむすびのかみ)

中央・天御中主神(あまのみなかぬしのかみ)

この神々は、日本神話に登場する五穀の守り神で、左右、中央に手刀を切ることで三神への感謝を示しているとされています。

相撲の手刀はいつから?

手刀を切る作法の始まりは江戸時代にさかのぼります。

千秋楽の結びの三番には勝った力士がそれぞれ矢、弦、弓を受け取る習わしがありました。

結びの一番に関してはは、後に大関に代わって弓取り式の力士が弓を受け取るようになっていったようです。

その時に行司が差し出す弓に対して、手刀を切る動作が行われましたが、今のような作法ではなかったとのことです。

近年は礼もなく無造作に鷲掴みで懸賞を受け取る力士が多かったため、見た目にもよくないと昭和の大関・名寄岩(大正3年9月27日~昭和46年1月26日)が、礼儀正しく手刀を切ったことから、ほかの力士たちも行うようになったと言われています。

名寄岩が、忘れかけていた古来の作法を復活させたと言ってもよいでしょう。

 

懸賞金の手刀の切り方


出典:https://torendo-noto.com/

手刀の切り方

懸賞金を受け取る時に「手刀を切ること」は、昭和41年(1966年)7月、元横綱双葉山の時津風理事長の時代に相撲協会の規定として明文化されています。

手刀を切る順序についても、左・右・中央とこの時に決められ、現在はこの作法で行われています。

昭和30年代までは手刀を切る手や切り方も力士によってまちまちだったのです。

故実の作法では、東の場合は、真ん中・右・左の順、西の場合は、真ん中・左・右の順で袋の上で手刀を切るとされていました。

また、名寄岩がみっつ手刀を切る意味として、”心”と言う字を描くということで、その切り方も当人から見て左・中央・右の順でしたので、明文化されたものとは違うがあるようです。

懸賞金以外の手刀

力士が懸賞金を受け取る時以外に手刀を切る姿を見ることがあります。

それは、力士が取り組み前に土俵の下に入る時です。

すでに座っている審判の親方や行司の前を通るため、手刀を切りながら前を横切り、自分の座布団に座ります。

しっかりと手刀を切る力士と、なんとなく仕草を見せる力士と個人差があり、やはり前者に対して礼儀正しいなと好感を持てますよね。

するならするでしっかりとしてほしいものです。

 

手刀の作法が美しい力士


出典:https://vpoint.jp/

土俵上での所作は全力士が相撲教習所で指導されるのですが、しっかりと実施している力士は少ないようです。

美しい所作ナンバーワン・豊真将

豊真将の引退会見を見て、「もうあの美しい所作を見ることができないのか」と嘆いたファンは多かったでしょう。

豊真将(現立田川親方)は、「教えた通りにやっていて、所作は全力士の中で一番いい。立ち居振る舞いが立派」と教習所で指導する親方からも高く評価されていました。

所作とひと言で言っても幅広く、相手と呼吸を合わせる土俵の上がり方や、蹲踞(そんきょ)の姿勢、顔の前で柏手を打つ塵手水(ちりちょうず)、そして懸賞を受け取る前に切る手刀などをいい、 豊真将はそのひとつひとつを丁寧に行っていました。

引退会見の時に師匠である錣山親方が「横綱、大関といった強い力士にはなれませんでしたが、相撲道で一番、大切な礼に始まり礼に終わるを体現した数少ない力士だと思っております」「弟子ながら尊敬している」と褒め称えています。

豊真将自身は、「師匠の錣山親方に所作をしっかりすると、相手に自分を大きく見せることができるって言われてですね、それからしっかりやろうと思いました。相手に自分を綺麗に見せるようにと思ってやってました」と語っています。

豊真将の勝っても負けても、取組後に深々と頭を下げて礼をする姿に心が洗われる思いがしたものです。

所作から豊真将の人格が伝わってきたからこそ、ファンは彼に対して大きな声援を送ったのだと思います。

豊真将をリスペクト!阿炎

豊真将が引退した時、同部屋の弟弟子・阿炎(当時は堀切)が、「関取の礼儀は自分がしっかりと継いでいきます」と言ってくれたと、相撲中継の解説を担当した時に話していましたが、阿炎自身もテレビのバラエティ番組で、「立田川親方リスペクトしてるんで」とコメント。

部屋にも立田川親方の肖像画が飾られているそうです。

現代っ子らしく、コメントなども軽く感じますが、勝負には貪欲で、相撲になると目が違ってくるとのことです。

今は豊真将の真似をしているだけかもしれませんが、今後、人間的にも大人になれば、所作にも人格を感じられるようになるかも?しれませんね。

 

手刀で問題になった力士


出典:https://matome.naver.jp/

朝青龍は左利き

左利きの朝青龍は、ずっと左手で手刀を切っていましたが、平成17年(2005年)の初場所初日に白鵬を押し出して白星を挙げた際、行司からの懸賞金を右手で受け取りました。

以前から横綱審議委員会は朝青龍に対し、「日本のしきたりでは右が上位。右手でやりなさい」と指導、注意をしていました。

当時の委員長だった内舘牧子さんは朝青龍に対して特別に厳しかったとも言われています。

昭和41年7月に「懸賞金を受け取る時には手刀を切る」と明文化されましたが、その中で左右どちらで行うかについては書かれていません。

では、何故右手で行うことを強要したのでしょうか?

その理由として「左手は不浄の手だから」とも言っていたようです。

これはインドやイスラム圏の国で言われていることです。

日本での「左手は不浄」の概念は、あくまで仏教としてのもので、神事の相撲には関係ないでのは?と朝青龍を擁護する意見も多く見られました。

しかし、最終的に朝青龍が日本文化への順応する形で右手で手刀を切るようになったわけです。

「いつまでも左手で手刀を切ってほしかった」というファンの声も多かったのですが、横綱審議委員会との和解を選んだと言われています。

白鵬の受け取り方は下衆?

横綱・白鵬の懸賞金を受け取る時の所作について、「あんな取り方は下衆だ!」「横綱がすることではない!」「伝統と格式を守ってほしい」など、ネットでも否定的な意見が多く見受けられます。

所作が乱れているなどと言う人もいるようですが、個人的には手刀を含めた所作に関してはまったく問題はないと思います。

白鵬に対して批判的な人は、手刀の後に懸賞金を受け取り、その懸賞金をグイっと上に上げるのが悪いと言いますよね。

「奪うような取り方」がガッツポーズのようだと苦言を呈する人もいます。

何故、ガッツポーズがダメなのかというと、横綱は番付の最上位であり、勝って当たり前です。

勝ったからと言って喜んではいけないと言うのです。

白鵬自身もこれに対しては「自然と力が入ってしまうが、おとなしくやらないとな」と話しています。

自身の著書の中でも神事としての相撲、土俵の神聖さについて語っており、手刀についても、「勝負の三神へのあいさつだ」と言っているように、すべて理解した上で行動しているのです。

横綱としての品格がないと言われてしまうのですが、勝負に対して熱くなってしまうのは致し方ないのでは?

個性として受け止めてあげることはできないのでしょうか?

これが、稀勢の里だったらこんな批判しないんじゃないの?と思ってしまいます。

 

まとめ

日本人なら誰しも手刀を切ったことがあるとは思います。

何も考えずに自然にやってしまう仕草で、日常的には特に意味がないと思うのですが、相撲では所作のひとつとして、やり方によっては、その力士を好印象にしたり、悪印象を与えたりします。

相撲ってスポーツなんですが、日本の伝統文化、神事であり、それに対していろいろと口うるさいことをいう輩もいて、やってる力士たちも大変だなと思います。

しかし、やるからにはきっちりしてほしい、今後、美しい所作を行う力士が増えていってほしいものです。



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